偽物の本物らしさ
これは「続・恋のミニミニスキャット」として発表したものです。エロバカ映画のポスターというイメージの作品です。この作品は写真的リアルさで描かれた油絵です。こちらの作品は人形の写真に彩色して模様と文字をレイアウトしています。彩色した写真は、描いた絵かと見間違えられました。
油絵の方はぱっと見た時、写真かなと思う。写真の方は一瞬、絵に見える。写真が絵みたいで、絵が写真みたい、偽物のリアルさが出たと思います。これは神戸のアートヴィレッジセンターでCDの展覧会があった時に出品したものです。音楽だけではなく、ピクチャーCDを作りました。CDの盤にそのまま油絵で手描きしました。
エロバカ映画に登場する人形、さらにそのポスター、そしてそのサントラということでCDというように、「恋のミニミニスキャット」のシリーズを作っていきました。
サントラの中身が今、流れている歌です。展覧会の会場でこの音楽が流れています。「ダバダバ…」とか「パヤパヤ…」とか歌うスキャットが好きです。有名なところではフランシス・レイの「男と女」のテーマがありますよね。イタリアの60年代ぐらいの、アホっぽそうなエロ映画でもよく使われているスキャットを、その頃の雰囲気で作りました。
演奏はコンピュータで入力し、高音部、低音部などのパートを作り、自分一人の声を多重録音してできあがりました。ずっと音楽が好きで、自分でもやりたかったので、ピアノなどの楽器が弾けなくても、自分で音楽が作れるのは嬉しかったですね。
さらにそのシリーズとして看板を作りました。映画館にかかっている看板のイメージで、立て160cm横4mぐらいの絵です。99年11月のキリンコンテンポラリーアワードでの展示のために作りました。展覧会の会場にはいると、一番初めに目に入る、展覧会の導入として看板があるわけです。全体にべた塗りで描き、60年代のポスターなどのポップな雰囲気を意識しました。
今度は大きな看板を今まで描いた写真のような油絵で描こうと思っています。それとアニメーションを作ろうとも考えています。コマ撮りで人形やものを動かしたり、手描きの絵を動かしていく実験的なアニメです。アニメーションが好きで、広島の国際アニメーションフェスティバルにも何回か見に行きました。
アニメーションは先ほどお話ししたような、偽物であるが故に本物っぽいという感じがすごくするんです。例えば、昔のコマ撮りによる恐竜映画は、そのカクカクした動きから、リアルな気味悪さが伝わってきます。本当はそんな動きをするわけはないんですが、そのキワモノっぽさが面白くてアニメーションを作りたいんです。もちろん、アニメーションの制作は何ヶ月とかいう単位ではできないと思いますし、それ以前にパソコンの使い方がさっぱり分からないので、まずそこからどうにかしなければなりません。これからも自分が面白いと感じたことにどんどん取り組んでいきたいと思います。