「え」のつく言葉            

 小学校の低学年が中学年のころか、はっきり覚えていない。家族でなぜか「趣味」の話になった。多分私が「趣味」という言葉の意味をよく知らなくて「趣味」とは何かと母親に訊いたのでないか。「好きなこと」とかなんとかそんな説明をしてくれた後、母は私の趣味は何かと訊いてきた。もじもじしながら「え」で始まる言葉と言う。「絵を描くこと」かと訊かれる。なかなか答えずにまたもじもじしている。しばらくしてから「エッチなこと」と答える。いやな顔をされ、怒られた。言い出しにくくても、言うとまずいとまでは考えていなかったのだろう。「絵を描くこと」と「エッチなこと」、この二つが後に結びつくことになる。
 欲しいものを自分で作る。幼稚園のころ「超合金」というロボットのおもちゃが買ってもらえず、粘土でロボットや車などをよく作った。
 縄文土器が好きなので自分で作ることにした。本に載っている写真を見ながら模刻する。わらや、もみがら、木を燃やして野焼きしをした。野焼きを何度かしているうちに、土器以外の違う作品を作って焼いてみようという気になった。全体は丸い形で上の面がお尻のように割れている。前の方は女性性器のようになっている。クリトリスは肥大して勃起した男性性器のように皮の中からとび出している。
 そのような、お尻、性器、おっぱいが一つに集まった形を次々に作る。縄文土器とは違い、野焼きは悉く失敗した。爆発して完全に粉々になってしまったものもある。なんとか割れた部分をつなぎ合わせて発掘した土器のように欠けた部分を石膏で埋めた。それからは陶芸用の窯で焼いた。素焼きで土の焼いた色そのものが肌の色になっている。
 黒と白のレース模様の作品は、土が乾きかけたときに土を彫って模様を描いた。瘢痕や入れ墨のように体に直接模様を刻んでいくイメージで描く。
 触られると気持ちいいところ、触ると気持ちよさそうにしてるところ。触っているとあまりの快感にあえぐ。恐ろしいほど大きな声を出す。気持ちよくなるところを見ていると、こちらまで気持ちよくなってくる。性器、おっぱいを見ていると、相手が、自分が気持ちよくなっているを思い浮かべる。その形を見ていると気持ちいい。
 下を向いて隠れている性器、肛門を上に向けて露わにしている。性についての意識は表を向いていたい。

よみもの essay

home