私の好きなもの 

 

 小学校に入った頃からだろうか、いや、もっと前からか、性的興味をもちはじめたのは。それが、形をもったのは、小学校三、四年ごろ、カーテンのかげに隠れて描いた漫画の模作がはじめだった。病院の待合室で読んだ漫画で、猿どもが、女の人の服をはぎとって喜ぶ…という内容だ。
 そのころ、母親に“趣味は?”ときかれ、すぐには答えずに“「え」のつく言葉”と言う。“絵を描くこと?”と訊かれ、迷った末“エッチなこと”と小さく答えた。何、それ、といやな顔をされた。この二つ「絵を描くこと」「エッチなこと」が結びつくことになる。中学にあがる前には雑誌の漫画の描き方を参考にして裸の女の人の絵を描いて、興奮していた。
 六年ほど前までは「日本画」を描いていた。裸体や絡み合う男女で画面を構成した。おもしろくなくなったのでやめた。もっと自分にとっておもしろいもの、欲しいもの、手もとに置いておきたいものをつくろうと思った。子どものころ、おもちゃのロボット(超合金!)が買ってもらえず、粘土でつくったり、ビー玉を使った野球ゲーム、迷路ゲームをつくって遊んだように。裸の女性を描いたように。大人になってからは、縄文土器や動物の頭骨をつくって飾ったように。
 日本画をやめてから、はじめは等身大の少女の人形や、斑点やいぼいぼのある小さい人形をつくっていた。1997年6月の個展では、多数の足や手の集合体からたくさんの丸い粒々が皮からむけ出ている20〜60?くらいの大きさもの、等身大の足の上におっぱいや、おしり、性器が合体したものがのる作品を発表した。
 感じるところ、勃起した性器、乳首は、触ったらと想像するだけでなく、その形を見るだけで気持ちよさそうに思う。気持ちのいいかたちを眼の前に現したい。小学生のころのエロマンガにはじまり、頭の中は、いやらしいこと、女のこと、セックスのこと…妄想が増殖していき、いつもいっぱいだ。
 「おっぱい大好き」という作品は、油絵具で描いた「おっぱい」の絵が約30枚。レース模様が刻まれ「おっぱい」の立体、誰でも大きいおっぱいになれる「おっぱいスーツ」、ぬいぐるみの「おっぱい抱き人形」などで構成される。
 でき得るかぎり、そのままで、包まずに、形にしたい。
 作品は部屋を飾っている。

よみもの essay

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