スプリング&サマー・コレクション

 時には鮮やかに、時には密やかに、咲き乱れる花々と素肌の色のときめき。スプリング&サマーコレクションが提案する春夏のイメージは、さながら身体の復活。デザイナーたちの多くは未来への期待を裸身に求めた。激変する社会状況の中では、身体そのものに立ち返ることが必要だという観点からだろうか。シースルーや乳房の露出だけでなく、下半身までがクローズアップされたのだ。
 タフなセクシーを表現したこれまでの傾向と比較し、トレンドの大きな変化を感じさせるシーズンとなった。それが、顕著に現れたのが露出。イノセントな少女のスタイルで女性らしさを表現し、その一方大胆にも局部を露わにする。キュートに肌を見せるスタイルに注目。過去の女性像を紐解き、全く新たな解釈で生まれたスタイルが今季のニューモードとなった。

 ファッション・ショーの写真を見ていると奇抜な服、メイク、かぶりものに目がいく。かわいい花柄レースやショートパンツに注目する。そして、やはり、どうしても気になることがある。おっぱいが透けて見えていたり、もろに出していたり、下着のような服にブーツはいている。こんな格好では街を歩いてはいない。そんな服装で街を歩いていたら・・と妄想する。人前で裸をさらす。
 だが、これはモードの世界の中での出来事だ。首を傾げる人はいない。問題にする人はいない。そこでは、あたりまえのことだ。今季のモードを問題にする。閉じた世界の中では気にはされない。

 壁の陰から現れる等身大の人形は、本当に人がいるようでびっくりする。その人形の写真を着色した作品は絵のように見える。また、写真のように見える絵を描いてきた。単純な驚き、そして喜び、本物と偽物とのズレと偽物のいかがわしさ、偽物からなぜか立ち上がってくるリアリティを表現してきた。今回の個展は顔や目が大きく、手足が長い女のコを描いている。現実にはない想像の世界の住人を写真のようにリアルに表現する。

よみもの essay

home